利用者様の中には、昔ゴルフ場でキャディとして活躍されていた方がいらっしゃいます。
長年身に付いた習慣や記憶は、とても大切な人生の一部です。
そのため、施設内でもゴルフ場のようなロッカールームを見ると、「仕事に行かなければ」という気持ちになり、ロッカールームへ入ろうとされることがあります。
もちろん、安全上の理由から立ち入りはできません。
しかし、「入ってはいけません」と声を掛けるだけでは、その方の思いを否定してしまうことにもつながります。
そこで私たちは、その方のこれまでの人生を尊重しながら、安全を守る方法を考えました。
立ち入り禁止ではなく、"伝わる"掲示へ
まずはロッカールーム前に、分かりやすい「立ち入り禁止」の掲示を設置しました。

さらに、昔キャディとして働かれていたことを思い出していただけるよう、
「キャディ時代に大切にしていたことを思い出してください」
というメッセージを添え、
- コース以外には立ち入らない
- プレーの妨げにならない
- コース管理を大切にする
など、ゴルフ場で大切にされていたルールも一緒に掲示しました。
「禁止」だけではなく、これまで培ってきた誇りや経験に語りかける内容を意識しています。
「こちらのコースは違います」
さらに廊下には、

「お戻りください」
「正しいコースへお戻りください」
という、ゴルフ場らしい表現にすることで、自然と進行方向を変えていただけるよう工夫しています。

私たちが大切にしたかったこと
認知症の方への支援では、
「止める」ことよりも、
その方の人生や経験を理解し、その人らしさを尊重しながら安心して過ごせる環境を整えることが大切です。
今回の取り組みも、
昔キャディとして頑張ってこられた人生への敬意を忘れず、
"伝える"ではなく、"伝わる"環境づくりを目指した工夫の一つです。
これからも、お客様一人ひとりの歩んできた人生を大切にしながら、安心して過ごせる環境づくりを続けていきたいと思います。
**************
歩みを「止める」のではなく、 あなたが刻んだ軌跡に寄り添いたい。
緑のコースを駆けた、キャディの日々。
その誇り高き歴史に、深い敬意をこめて。
言葉をただ「伝える」のではなく、 心へそっと「伝わる」場所でありたい。
あなたらしく、今日もおだやかに。 その尊い人生と、ともに歩んでいく。
by かずりん